大阪地方裁判所 平成3年(わ)3254号 判決 1992年7月07日
本店所在地
大阪市阿倍野区昭和町二丁目三番三号
商号
ファミリー産業株式会社
代表者氏名
東春美
代表者住所
大阪市阿倍野区長池町一五番四-一〇六号
本籍
鹿児島県肝属郡高山町後田二四一六番地
住居
大阪市阿倍野区長池町一五番四-一〇六号
会社役員
東春美
昭和二二年五月一二日生
主文
被告人東春美を懲役一年一〇月に、被告人ファミリー産業株式会社を罰金八〇〇〇万円に処する。
被告人東春美に対し、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。
理由
(犯罪事実)
被告人ファミリー産業株式会社(以下被告会社という。)は、大阪市阿倍野区昭和町二丁目三番三号(平成二年一月二六日までは大阪府東大阪市森河内西二丁目九番地所在)に本店を置き、不動産賃貸業等を営むもの、被告人東春美(以下被告人という。)は被告会社の代表取締役として業務全般を統括しているものであるが、被告人は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、昭和六四年一月一日から平成元年一二月三一日までの事業年度における実際の所得金額は、別紙の(1)修正損益計算書記載のとおり、五億八五三〇万〇三〇九円、土地譲渡利益金額は、別紙の(2)修正損益計算書記載のとおり、六億〇一一二万九九八四円(課税土地譲渡利益金額は別紙の(3)税額計算書記載のとおり六億〇一一二万九〇〇〇円)で、これに対する法人税額が、別紙の(3)税額計算書記載のとおり、四億二三七一万〇五〇〇円であるのに、虚偽の不動産売買契約書を作成して、土地譲渡金額を圧縮するなどの不正の行為により、その所得の一部及び課税土地譲渡利益金額の一部を秘匿した上、平成二年二月二八日、大阪府東大阪市永和二丁目三番八号所在の所轄東大阪税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が、別紙の(1)修正損益計算書記載のとおり、一億三五一一万七八八一円、土地譲渡利益金額が、別紙の(2)修正損益計算書記載のとおり、一億五二〇七万九九四四円(課税土地譲渡利益金額は別紙の(3)税額計算書記載のとおり一億五二〇七万九〇〇〇円)である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定の納期限を徒過させ、もって不正の行為により、別紙の(3)税額計算書記載のとおり、右事業年度の法人税三億二三七九万一九〇〇円を免れたものである。
(証拠)
一 被告人の当公判廷における供述
一 第一回公判調書中の被告人の供述部分
一 被告人の検察官に対する供述調書
一 西垣基成、高畑尚、宮崎敬介、東庸子の検察官に対する各供述調書
一 杉本忠一、野々村弘治、上野義治、山口裕、太田常昇の大蔵事務官に対する各供述調書
一 大蔵事務官作成の証明書、捜査報告書、各査察官調査書
(法令の適用)
被告人の判示所為は法人税法一五九条一項に該当するので、所定刑中懲役刑を選択し、その所定刑期の範囲内で被告人を懲役一年一〇月に処し、情状により刑法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。
更に、被告人の判示所為は被告会社の業務に関してなされたものであるから、被告会社については法人税法一六四条一項により同法一五九条一項所定の罰金刑に処すべきところ、情状により同条二項を適用して罰金額をその免れた法人税の額以下とし、その金額の範囲内で被告会社を罰金八〇〇〇万円に処することとする。
よって主文のとおり判決する。
(出席検察官)宮下準二
(出席弁護人)巽貞男、泉秀昭
(裁判官 田中正人)
別紙の(1)
修正損益計算書
<省略>
別紙の(2)
修正損益計算書
<省略>
別紙の(3)
税額計算書
<省略>